BROMPTON(ブロンプトン)という自転車メーカーご存じでしょうか?
Bromptonは、1975年にアンドリュー・リッチーによってロンドンで創業された折りたたみ自転車ブランドです。
その起源から現在まで、品質と機能性を追求し続けており、今や世界中の都市部で愛される存在となっています。
ファッション性と実用性を兼ね備えた自転車で、伝統的なクロモリフレームからチタンモデルなどが存在し、中古でも人気の高いブランドです。
今回、縁あって中古のブロンプトンを入手できたため、中古ブロンプトンの整備及びカスタマイズについてご紹介したいと思います。
なお、財布の都合で使用しているのは中華製の激安パーツです!!
記事を書いた人
自転車技士、自転車安全整備士、BAAアドバイザー
自転車歴20年 物心ついたころからリサイクルショップを愛用し、休みの日もリサイクルショップを巡る筋金入りのリサイクルショップマニア
ブロンプトンについて
自転車好きの中では認知度の高いメーカーですが、一般の方でBromptonを知っている方はおそらく少ないと思いますので、自転車の簡単なご紹介をさせていただきます。
ブロンプトンには型番があり、S6RやM3Lなどの表記になっています。
最初のSやMはハンドルの形状で、ブロンプトンのハンドルには「Sタイプ」「Mタイプ」「Pタイプ」があります。
ちなみに、ハンドルの形だけでなくステムのサイズも異なるため、ステム長の長いSにMハンドルを後付けしようとするとハンドルの高さがかなり高くなるなどの問題が出て来るようです。
M3Rなどの真ん中の数字、3や6は変速数です。
ブロンプトンはスターメーアーチャーというブランドの内装式の変速機が標準で使用されています。
Sturmey-Archerは、イギリスの自転車部品メーカーで、特に内装変速機(ハブ内変速)で名高いブランドです。
外装に比べて高額ですが、トラブルが少ないため国内ブランドの軽快車や電動自転車では、中価格~上位価格帯の自転車は内装を採用した物が主流になっています。
基本的な調整は引き量の調整のみなので、変速の調整自体はそれほど難しくありません。
実は、数年前に台湾ブロンプトンのオーバーホールを試したことがあります。
当時、まだ十分な知識や展開図が手元になく、取り返しがつかなくなった苦い経験があります。
今なら出来るかも?と思い調べてみましたが、ハブだけで部品点数が約50ほどあるようです。
当時のトラウマもある為、よほどの理由がない限りここは触らないでおこうと思います・・。
最後のLやRはキャリアの種類になります。
Lはキャリア無し、Rはキャリアが付いているモデルになります。
ブロンプトンのキャリアは折りたたんだ際に引けるよう車輪がついています。
その他、現行ではCラインとPラインというモデルがあります。
Cラインは昔ながらのクロモリ製で、Pラインはリアとフォークがチタン製になります。
Tラインというオールチタン製のモデルも存在しますが、こちらは限定になるようです。
チタンマニアとしては本当はTラインが欲しかったのですが、70万円を超えるため家族の許可が降りる事は永久になさそうです・・・。
その他の特徴について
・コンパクトで折り畳み易い機構
- 独自の機構
Bromptonは、独自の折りたたみ機構により非常にコンパクトなサイズになります。他の折りたたみ自転車と比較してもスピーディーで安定性の高い機構になっています。 - 持ち運びやすさ
重量バランスが良好で、折りたたんで持ち運びやすい。しかも、自立するのでどこでも安定して置けます。
特に折り畳みについては早い人だと10秒で折り畳みができるとのことです。
速さを競う動画などもありそういう点でも面白い自転車だと思います。
・走行安定性・乗り心地の良さ
- 快適な走行
ガタつきにくい設計で、長いホイールベースが安定した走行となっています。
小径車はタイヤが小さいという構造上、乗り心地がかなり悪いものが多いのですが、ブロンプトンの乗り味は比較的マイルドです。
フレームがクロモリやチタンであるため、アルミに比べ良いこと。
カスタマイズの所でも触れますが、サスペンションブロックとリアの構造により、乗り味の調整がしやすいこと等も走行安定性や乗り心地に影響を与えていそうです。 - 変速機能
最大で6速までの変速があり、街中から坂道まで多様な環境に対応します。
・デザインの美学
- スタイリッシュな見た目
何といってもシティライフにマッチするスマートで洗練されたデザインで、一目でブロンプトンとわかるデザインが魅力です。 - カスタマイズ可能
好みのカラーやパーツを選んで、自分だけのBromptonを手に入れることができます。カスタマイズパーツも豊富に出ている為、自分だけのブロンプトンを作ることができます。
本題:ブロンプトンのカスタマイズ
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
まず、中古で購入した当初の状態です。
モデルとしては2016年のP6R RAWカラーになります。
ロウカラーはクロモリの素地に錆止めとクリアを施しただけのカラーリングの事で、フレームの中でも特に出来の良いものを厳選し、塗装が施されています。
溶接の焼けや錆などが味になるため、同じ柄の物は二つとしてありません。
現在は廃番となっている為、希少性の高さも魅力です。
中古の場合、上位グレードになればなるほど、素の状態でカスタマイズが施されている事があります。
今回自身が入手したブロンプトンも同様で、純正から変更されているポイントが何カ所かありました。
こういった点は中古のメリットの一つだと思いますが、一方で調整が必要な点などもあったため、デメリットと合わせてご紹介させていただきます。
調整が必要だった点
これは前オーナーのセッティングによるものですが、Pハンドルが90度曲げられており、
ハンドルまでが遠くなっていたこと。また、その影響で折り畳みができない状態になっていました。
角度を通常の角度にすることで折り畳みができるように変更しました。フルで折りたたむと大分コンパクトになります。
アップポジションになったことで街乗りも快適です。
変速もシフトアップとシフトダウンを行った際若干もたつきがあったため調整を行いました。
ワイヤーテンションで調整が出来る範囲だったのが幸いでした。
その他、グリスが固まっていたり、細部に汚れが付着しているなどありました。
この辺りは後日整備日記を上げさせていただきたいと思います。
純正からアップグレードされていたパーツについて
フロントホイールはハブダイナモ内臓の物に交換されていました。
ショップの手組でしょうか?
シュミット・ハブ・ダイナモ SON XSというハブで、単体で49,500円もするようです。
ダイナモタイプのハブは漕ぎだしの軽さという点ではノーマルタイプに劣る物ですが、
重さをほとんど感じさせない滑らかな回転が特徴です。
アルミボディで経年のくすみはありますが、振れもほぼなく比較的良いコンディションでした。
ライトはBUSCH&MULLER ブッシュ・アンド・ミューラー・ルモテックIQサイヨRセンソ・プラス
というモデルがついていました。
40LUXと照度は控えめですが、夜間走行メインでなければ特に問題がない感じです。
極めつけはORTLIEB(オリトリーブ)のミニOバッグが付いていました。
既に廃番になっていますが、中古でも高い人気を誇るバッグです。
内部が簡易的な防水になっており鍵や小物類を入れておくのにちょうどよいサイズ感です。
ストラップが付属しており、駐輪時にはショルダーバッグとしても使えます。
激安パーツを使ってカスタマイズしてみた。
前オーナーがある程度仕上げてくれていたので、見た目と乗り味に絞ってカスタマイズを行いました。
今回自身で行ったカスタマイズは下記の3点です。
①シートポストをチタン製の600mmに変更
②サスペンションブロックをFIRM製から松村鋼機風 中華製チタンサスに。
③サドルを純正からBROOKSのProfessionalサドルに。
なお、サドルは中古で。それ以外は某海外サイトにて取り寄せを行いました。
①シートポスト
標準だとペダルを漕いだ際に若干サドルの低さを感じたため、ピラーを長めのチタン製に変更しました。
元の状態だと535mmしかないようで、若干短めとなっています。
ちなみにこちらのチタンピラーは550mm 580mm 600mm の3種類がありました。
長かったらカットすればいいやと安易な考えで600mmをチョイス。
冷静に考えると、どう考えても長すぎでした・・おまけにチタンなのでカットするのも容易ではありません。
パーツが届いた後に気が付いたのですが、エンドの部分が加工されており、抜けない構造になっているようです。
また、折り畳み時にシートポストの端が出すぎていると畳むこともできないようです。
加工精度に難有
長さ以外にもう一点、品質上の重大な問題がありました。
取り付けて分かったのですが、純正と比較してわずかに外径が小さいようです。
クランプの締め付けをかなり強くしないと固定できませんでした。
純正だとこういう問題はクリアされてから世に出てきますが、非純正パーツの精度の低さはこういうところに出るようです・・。
チタンパーツなので、グリスはアッセンブリルーブをチョイスしました。
チタンは他の金属と摩擦が起きるとガリング(金属同士が局部的に溶け合って結合する現象)を起こしやすいです。
特に、ボルトやナット、接合部などで摩擦が頻繁に起こる場所ではこの現象が顕著に表れます。
固着しやすいためアッセンブリルーブの塗布は必須です。
シートポストの形状はシティサイクルなどでよく使われているタイプです。
ペンタクリップというブロンプトンオリジナルのやぐらでサドルレールを固定します。
2006年モデルから通常規格のサドルが装備されるようになりましたが、その通常のサドルレールが使用できるようペンタクリップが採用されるようになったようです。
ピラーはチタンの鈍い輝きのおかげもあり、見た目の満足度は高めです。
しかし、シートクランプにかかる負荷や、ポジションを合わせた際に折り畳みに支障がある点などを考えると、純正パーツに戻すか悩むところです。
満足度 ★★
②サスペンション
次にサスペンションブロックの交換を行いました。
2016年モデルなので、FIRMというメーカーのハードタイプのエラストマーが付いています。
この部分は年代により変化するようで、古いモデルだとかなり柔らかいものが使われているとの事。
現行モデルでは、溝がないものに変わっています。
ブロンプトンの耐荷重は110kgに設定されているとの事ですが、ハードタイプはこの耐荷重に合わせて設定されているとのことです。
各方面のレビューを読む限り、70kg以下の方が乗る分には硬すぎるとの事です。
試乗時に若干硬さを感じたこと。
あとは見た目の問題から、海外通販で見つけた松村鋼機風の中華製チタンサスに変更してみました。
こちらのパーツですが、軸がチタン製となっており、内部にエラストマーがセットされています。
Amazonなどで安く売られていましたが、デザインの元となっているオリジナルは松村鋼機というメーカーから発売されています。
サスペンション一つで大分印象が変わりました!!
サスペンション交換・・重大な問題が発覚
サスの見た目が良くなって、気分も上々になったので早速試乗してみました・・・
が、スプリングタイプの中華製サスは路面からの衝撃が直に来る仕様のようで、乗り心地が劇的に悪化する結果となりました。
純正は段差などでも衝撃を慣らしてくれたのですが、中華サスは直で衝撃が来る感じです。
走行時のガタツキもひどく、気持ち悪いレベルまで乗り心地が悪化しました。
ブロンプトンは構造上、リアの部分と本体のストッパーがある部分に遊びがあるのですが、そのことがあまり考慮されていないような造りになっていたようです。
結局、乗って数分で結局元に戻すことになりました。
海外レビューは★5だったのに・・・・・正直買わなきゃよかったです。
満足度 ★
③サドル
BROOKS Professional
サドルはブルックスのプロフェッショナルというサドルをチョイスしました。
激安パーツではありませんが、ブロンプトン=ブルックスという先入観もありここは迷わず選択。
過去、ロードでFizikからfabricまでいろいろ試してみて、自身にはSELLE SMPのサドルが一番合っているとわかっているのですが、見た目だけで選んでいます。
乗ってみた感想ですが、普段着で乗るにはかなり厳しい・・・。
サスペンション周りが固いせいもあり、衝撃がダイレクトに来るため1時間程度のライドでお尻が悲鳴をあげてしまいました。
サドル選びはここが大変で、見た目やレビューが良くても自身の体にフィットしないと乗るのも苦痛になってしまいます。
中古でサドルの出物が多いのもこの辺りが影響していますが、実際試さないとわからないので難しいですよね・・。
現状、ダウンウェイト中なので、もう少し減量すれば乗れるのでしょうか・・・サス回りを改善すればまだいけるのかな・・
見た目はめちゃくちゃ気に入っている為、慣らしも兼ねてしばらく様子を見ることにします。
満足度 ★★★
まとめ 1分け2敗!! 非純正パーツには罠がある
今回、財布の都合もあり激安パーツ類を使ってカスタマイズを行ってみましたが、正直残念な結果に終わってしまいました。
激安海外パーツ類はレビューや情報が少なく、怪しいパーツは安易に手を出すべきではないと身をもって体感しました。
しかし、中古であれば安く手に入り、売る時も高く売れるので、とりあえずサドルのように試してみたいときには最高です!!
これに懲りずまたカスタムを試していきたいと思います!!