中古なら3万円~購入できる!? 自転車安全整備士がおススメする電動自転車の賢い選び方について


新入学や新生活のシーズンになると電動自転車の在庫や選び方についてよくご質問を頂きます。

新車で電動自転車を購入しようとするとブリヂストンやヤマハといったブランドの物だと
最低9万円程度からで、幼稚園や保育園の送迎などで人気の低床子供乗せタイプだと
13万円~と結構なお値段がしてしまいます。

新品では手が出にくい電動自転車も、中古であれば3万円台からでも購入することができるため、ピックアップでも電動自転車は高い人気を誇るアイテムです。

人気のPASSシリーズ

しかし、電動自転車はご存じの通りバッテリーが付属しており、
中古だとどうしてもバッテリーの劣化や寿命が問題となってきます。
中古の電動自転車には興味があるけどバッテリーがすぐにダメになってしまうかも?とか、
故障が心配といったお客様もかなり多いのではないかと感じています。

そこで今回は、自転車技士と自転車安全整備士の資格を持ち、リサイクルの内情に詳しい
筆者が中古電動自転車の賢い選び方について書かせていただきます。


【書いた人】

自転車技士、自転車安全整備士、BAAアドバイザー
自転車歴20年 物心ついたころからリサイクルショップを愛用し、休みの日もリサイクルショップを
巡る筋金入りのリサイクルショップマニア


そもそも電動自転車とはどんな自転車なのか?

まず、本題に入る前に電動自転車がどういった自転車なのかを簡単にご紹介させていただきます。


電動自転車は名前の通りバッテリーの力でモーターを回し走る自転車を指します。
電動バイクや電動キックボードと異なり、100%電気の力で走るわけではなく、
モーターを使って走行をアシストする機能を有した乗り物という扱いになります。

この辺りは法律が絡んでおり、
道路交通法上の「人の力を補うため原動機を用いる自転車」あるいは「駆動補助機付自転車」と呼称される区分を満たすための仕様とご理解いただければと思います。
※速度的には時速24kmまでアシストされそれ以上の速度になるとアシストが解除されます

電動自転車は静岡県に本社があるヤマハから1993年にPASシリーズとして発売がされました。
当時の電池は鉛蓄電池を採用しており、充電にかかる時間は約10時間 走行可能距離は約20kmとなっていました。車両重量も31Kgとかなり重く、電池切れを起こすと鉄下駄と化し、漕ぐのも一苦労だったと記憶しております。

電気の力で走る自転車というのは当時としてはかなり画期的で、
ホンダやSANYOといったメーカーからも電動自転車が相次いで発売されました。

現在ではSANYOはPanasonicになり、ホンダは電動自転車事業から撤退し
国内メーカーだとヤマハ、ブリヂストン、パナソニックの3社が主要なメーカーです。
(ただしブリヂストンのモーターやドライブユニットはYAMAHA製になります。)

そのほか、海外製の電動自転車やロードバイクやMTBタイプの電動自転車も多く見かけるようになってきました。


電動自転車のメリットとは?

電動自転車のメリットとして坂道や重い荷物を載せて走る際の強力なアシストがあります。
こちらについては一度体験していただくとわかるのですが、一度電動自転車を体感してしまうともとに戻れないくらい快適です。

都市にある幼稚園や保育園では自動車での送迎が禁止されていたりしますのでそういった
チャイルドシート付の電動自転車は特に人気だったりします。

電動自転車のバッテリーの種類と寿命について

電動自転車のバッテリーは大きく分けて4種類あり鉛蓄電池・ニッケル・カドミウム蓄電池 (Ni-Cd)・ニッケル水素電池 (Ni-MH) ・リチウムイオン二次電池 (Li-ion) となっています。これらの電池のうち鉛蓄電池は今から20年以上前に主流だった電池で
2000年前半ではニッケル水素やニカドバッテリーの電池タイプ、2008年頃からはほぼリチウムイオン電池が主流と置き換わっております。

リチウムイオンバッテリー

ニッケル水素バッテリー

これらの電池の違いですが、リチウムがメモリー効果がないのに対して、
そのほかの電池はメモリー効果という電池寿命に大きくかかわる特性を有しています。
メモリー効果とは放電によって低下した電圧(起電力)を電池自体が記憶してしまう現象で、電池を残量が0になっても使い続けたり、
高温な場所で保管するなどをすると電池寿命が極端に短くなったりします。

使用回数が少なくても長期間保管された電池が正常に動作しないことなどがありますが、
これは過放電状態で不活性の状態が長く続くことで寿命を迎えてしまい
使用できなくなってしまう現象によるものです。

上記の理由から
リチウムイオン電池以外のバッテリーの電動自転車は年々減ってきていますが、
見た目がきれいでも電池が使用できないケースがあるため購入される際には注意が必要です。

では、リチウムイオン電池が全く問題ないか?というとそういうわけでもありません。

リチウムイオン電池の使用期間は一般的には6年から10年充放電回数は約500回といわれています。しかし、使用環境や保管環境、充電の仕方などにより寿命には大きな開きが出てきます。

充電容量が少ない状態(0%は除く)の劣化は少なく、
充電容量が中程度で普通 充電容量が満の状態だと劣化しやすい状態となります。
この条件に加え、保管温度も重要な要素となり、
温度が高いと劣化が進みやすくなり温度が低いと劣化がしにくくなります。
また、経年劣化によりバッテリーの寿命が減少していきます。
環境や使用状況によりこちらも大きく異なりますが、
1年ごとにおよそ10~20%程度電池の容量が減少していくといわれています。

バッテリーの裏側に記載項目があり、販売店で購入日が記入されます。


電動自転車のバッテリーの裏側に購入時期が記載されている事が多く、
購入される前にこちらをご確認頂くことをお勧めいたします。

電動自転車バッテリーの価格と互換バッテリーについて

電動自転車のバッテリーは消耗品となりますのでバッテリーのみを購入することが可能です。
価格は容量やメーカーによっても大きく変わってきますが、3万円~5万円程度で購入できます。

ネットではバッテリーの中身を交換した再生バッテリーが販売されています。
残念ながら一部の商品では安全基準を満たしていない物や発熱に対して対策がされていないものもあり、発火したり破裂するなど事故につながるケースもあるようです。

電動自転車用のバッテリーは容量が大きいものが中心です。
その他、使用環境も屋外が基本になるなど、過酷な環境下で使用されるケースが多いため、
安全性の観点からも純正品の購入を強くお勧め致します。


【本題】3万円で購入できる電動自転車とは?

前置きが長くなりましたが、今回のテーマである3万円で購入できる電動自転車について
パターン別にご紹介させていただきます。

①傷や汚れがある小径車・軽快車タイプ(オススメ度★★★★★)

小径車タイプの電動自転車

小径車やシティサイクルタイプの電動自転車は元の車体価格が10万円を切るものも多く、
中古でも比較的お求めやすい価格で購入することが可能です。

特にバッテリー容量が8Ah以下だったり、汚れや外観上の傷があるものでしたら
比較的年式が新しい物でも安く購入することが可能です。

泥除けはキズがや凹みが付きやすいポイントです。
グリップに痛みや汚れ、ハンドルにさびがあるもの。グリップは消耗品になるため交換が容易です。

小径車やシティサイクルタイプの自転車は日常の足として使われたり、
駐輪場に置かれたりする関係で泥除けやフレームに傷が発生しやすくなります。

また、流通台数が多く入荷しやすいという点からも店頭に並ぶことが最も多い電動自転車です。

②年式が古い比較的綺麗なもの(オススメ度★★★★)

新品だとかなりお値段のはる電動三輪車も3万円台で販売することがあります!!

家電と同じく電動自転車も年式が古いものほど値段が安くなる傾向にあります。
特に年式が古いわりに状態が良いものなどは使用頻度が少ないことが多いです。
特に5~10年以内に製造されたものであればリチウムイオン電池が使われている
ケースが多く、バッテリーに経年による劣化があるケースはあるものの現役でお使いいただけるものも多く存在しています。


なお、電動自転車には型式や品番が存在するため、
これを確認することでどの年代に製造されたものなのかを調べる事ができます。

※電動自転車の場合ヘッドチューブに記載されていることが多いです。

ヤマハPAS初期型 メーカーHPより 

【注意点】

年式の古い電動自転車には注意した方がよい点がいくつかあります。
1つ目はリチウムイオン電池以外の電池を使用している電動自転車です。
電池の種類の項目でも触れましたが、電池残量がない状態で長期間放置された場合電池
寿命が尽きているケースがあるためです。

国内メーカーの物であれば電池に互換性を持たせている場合があり、
もともとはニッケル水素で駆動するモデルでもリチウムイオン電池が使用できるケースなどもありますが、電池の価格を考えるとかえって高くついてしまうケースもあるため
注意が必要です。

③バッテリーに軽度~中程度の劣化が見られる物(オススメ度★★★)

バッテリーの使用回数が多く、軽~中程度劣化が見られる場合電動自転車の販売価格は安くなります。軽度~中程度の劣化であればまだまだお使いいただけることが多く、
走行可能距離が落ちてもある程度の距離を走る事はできるため、
ご自身の使い方に合わせて購入することが可能です。

バッテリーを購入する場合3~5万円程度の費用が発生しますので、バッテリーを
買い替えることも想定しながらご検討いただくのがベストです。

④修理が必要な物(オススメ度★★)

前輪はそれほど手間がかかりませんが、後輪のタイヤ交換は大変です。

ご自身で修理することができる場合、安く抑えることができます。
電動自転車は重量がある分タイヤやチェーンの電動自転車用のパーツが使用されているケースが多く、こういった部分でも修理費用がかさんでしまうケースがあります。

また、修理を行う際にモーターなどが付いている分機構が複雑だったりしますので修理費用が高くついてしまうケースがあるようです。



前輪や、ワイヤー交換など簡単な修理で対応できる物であればおススメですが、
逆に修理が高くついてしまうケースもあるため、修理が必要なものの場合あらかじめいくらぐらいかかるのかを把握したうえで御購入されることをお勧めします。

⑤ノンブランドの電動自転車(オススメ度★★)

海外製の電動自転車 (イメージ)


通販などで販売されているノンブランドの自転車の中には
電動自転車の型式認定を受けていないものがあります。
こういった自転車は安全性の観点から自転車販売店などで整備を断られるケースもあるため、
上でもご紹介させていただいたフレームに型式が記載されているかの確認をお勧めします。


また、ノンブランドの電動自転車のもう一つの問題点として
交換バッテリーの入手性が挙げられます。

バッテリーの入手ができなければ長期的に使うことができないため
交換用バッテリーが入手できるかも含めてご検討いただくことをお勧めいたします。


まとめ:賢く購入するポイントについて

色々とご紹介させていただきましたが、実際に中古電動自転車を賢く購入するポイントを3点
ご紹介させていただきます。


①試乗できるお店を選ぶ

電動自転車に限らずではありますが、中古自転車の場合一度ご試乗してから購入することをお勧めします。試乗することでサイズ感だけでなく商品の状態を感じることができるからです。
試乗してみて体に合っていない自転車だと長期間のお使いいただくことが困難です。
その他、異音がしたり、進みが遅かったりなど、整備不良や故障があるケースなども
ご試乗いただくことでご確認頂くことができます。

バザール店・ピックアップでは中古車はご購入前にご試乗いただくことが可能ですのでお気軽にお声かけください!!

②スタッフに相談できるお店を選ぶ

中古電動自転車品の場合、価格だけで判断するとご自身の用途に合わなかったり
逆に高くついてしまうこともあると考えています。

バザール店・ピックアップでは、専門性を持ったスタッフが在籍しております。
安全に安心してお乗りいただく必要がある乗り物だからこそお気軽にご相談ください!!

③バッテリーのチェック方法を知っておく

国内メーカーの電動自転車バッテリーであれば充電回数や劣化具合を簡易的に診断することが可能です。メーカーによってチェック方法や内容が異なるため下記に記載させていただきます。

押ボタンを長押しすると

バッテリーの実容量が表示されます。


【Panasonic】

押すボタンを押すとLED残量(現在のバッテリー残量)が数秒表示され、5秒ほどすると再度LEDが点灯します。2回目の点灯はバッテリーの学習容量とよばれており、一般的には下記のような判断ができます。

  • ランプ5つ点灯 バッテリー実容量 100%~81%
  • ランプ4つ点灯 バッテリー実容量  80%~61%
  • ランプ3つ点灯 バッテリー実容量  60%~41%
  • ランプ2つ点灯 バッテリー実容量  40%~21%
  • ランプ1つ点灯 バッテリー実容量  21%~00%

ただし、学習したタイミングや条件については公表がされていないためあくまでも目安程度に考えるのがよさそうです。

【YAMAHA ブリヂストン】

残量ボタンを押した時から20秒経過すると残量ランプに充電回数を表す情報が表示され、
その後残量ランプが消灯し5秒後に残量ランプに実力容量を表す情報が表示されます。

充電回数は長時間充電しても一瞬だけ充電しても1回としてカウントされるます。

  • ランプ1つ点滅 充電回数 0~50回
  • ランプ1つ点灯 充電回数 51~100回
  • ランプ2つ点滅 充電回数 101~150回
  • ランプ2つ点灯 充電回数 151~200回
  • ランプ3つ点滅 充電回数 201~250回
  • ランプ3つ点灯 充電回数 251~300回
  • ランプ4つ点滅 充電回数 301~350回
  • ランプ4つ点灯 充電回数 351回以上

となっています。
実容量はバッテリーの劣化具合の目安となる表示で

  • 1点灯・・・実力容量0~25%
  • 2点灯・・・実力容量26~50%
  • 3点灯・・・実力容量51~75%
  • 4点灯・・・実力容量76~100%

※あくまでも目安になりますが、おおよその状態を判断できるため
中古電動自転車をお買い求めになる際の参考にしてください。


いかがでしたでしょうか?
新車で購入すると高い電動自転車も中古ならお得にご購入いただけます。
またご購入にあたりご相談や試乗いただくことが可能です。
電動自転車をお探しのお客様はぜひバザール店・ピックアップへご来店ください!!!

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